※オリジナル設定です。
先にこちらを見た方がわかりやすいです。
ちなみにこれとこれもこのシリーズです。
興味ある方はどうぞ。(見なくても支障はないはずです)
※完全オレ得
※キャラ崩壊の捏造万歳
※シリアス
薄暗い路地裏。
何かが動いた気配に神楽は一瞬身を固くしたが、
その正体に気づくと力を抜く。
「...神楽」
「総悟」
「迎えに来やした。何こんなトコで遊んでるんでィ」
「こいつらが、私と遊んで欲しいってヨ」
だから今、ちょっと相手してやってるネ。
そう言って笑う神楽は残酷なまでに美しい。
沖田は目を細め、口元を引き攣らせる。
少しは、笑っているように見えるだろうか。
もっとも、余裕を見せたいわけではないから、無理して笑う必要はないのだが。
黒いスーツに金髪の優男と、赤のチャイナドレスを着た桃色の髪を持つ美女の噂を
このゴロツキ達は知らないのだろうか。
「・・・あまり、他を構っていると、俺が暴れますぜィ」
「コレだから、独占力の強い男は...」
ハア—と溜息を吐いて、神楽は脱力したように両腕を下げた。
2人の会話を黙っていた男達は、
あまりにも場違いな二人の様子に呆気にとられている様子だった。
「・・・まったく・・・」
「・・・総悟!」
「・・・あんたは、ホント甘いですねェ・・・。・・・俺が、妬いて暴れても知らねェですぜィ」
「大丈夫ヨ」
「・・・」
「...総悟は、私を裏切らないアル」
コレは、確信だ。そして、誇りだ。
けして変わる事のない、永遠の。
「...アンタには、ホントに敵わねェなァ・・・」
当然、と言うように満面の笑顔で笑う神楽の様子に
総悟は少し呆れを含んだ笑みを浮かべた。
その神楽の笑顔は、幼い子供のように無垢で、その場にはそぐわないものだった。
けれども、総悟はそれを護りたいと想う。
それは義務というには堅すぎて、エゴというには余りにも重いもの。
でも、総悟はけしてそれを曲げない。そして誓う。
だから、神楽は信じられる。
そんな、ふたりの関係。
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「総悟。何ヘタってるアル。情けない男アルナ。これだからマダオが世に増えていくのヨ」
「・・・神楽」
その、思ったよりも低い総悟の声に眉をひそめる。
にやにやと気色悪い笑みを浮かべて群がっている面子を一見する限りでは
総悟がヤられえるとは考えられない。
では、一体何が総悟をヘタリ込ませたのか。
神楽は舌打ちをした。
むしろ、総悟が憂さ晴らしの為にチンピラに絡み、喧嘩をしかけたのだろう。
「・・・行儀の悪い子に育てた覚えはないアルヨ」
「育てられた覚えもねぇがな」
「・・・うるさいアル」
アンタに育てられてたまるか。
総悟はそう吐き捨てると今までの動きが信じられないほどの
乱暴で激しい剣であっという間にその場にいたチンピラを一掃した。
「そっ・・・!」
「・・・」
「・・・総悟」
「...かぐら・・・」
そして敵がピクリとも動かなくなったことを確認すると、
そのまま無言になり、静かに涙を流す総悟を、神楽は宥めるように髪を撫でる。
本当は、そんな事を言って欲しいわけではない。
求めているのはもっと別のこと。
いくら体で繋がっても、偽りの愛の言葉を聞いても、心は満たされない。
口先でしかない行為では。
でも、それ以上を求めてはいけないぐらいは、総悟はもう覚悟している。
それを理解して、それでも傍にいる。
それしか出来ないから。それだけでもしたいから。
王子様は自分ではないと、当の昔から知っている。
でも、どうかそれを神楽の口からそうではないと、言わないでほしい。
「・・・総悟」
そんな総悟の覚悟がわかっているのか、それともただのきまぐれか。
神楽は総悟の頭を己の胸に導くと、無言でただ寄り添っていた。
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口に出すのも忌々しいあの金髪の店に訪れると、
いつもはそこで帰るように命じる神楽が珍しく入店を促した。
この前は頼りない姿をさらしてしまったから心配しているのだろうか。
少しでも一緒にいてくれようとするののは嬉しいが、
場所がここでは逆に苦痛でしかなかった。
帰ることを告げようとすると、神楽はそれを責めるように名を呼ぶ。
「総悟」
「・・・いえ。俺は・・・」
「ダメ。今日は、貴方も一緒よ」
「・・・?」
「金ちゃんが、お呼びよ」
「・・・」
あの男に指図されるのは気に食わないが、
腕に回った神楽の手が嬉しくて何も言い返せなかった。
まったく、自分も安い男になったものだ。
「あ!神楽ちゃんに沖田さん。早かったですね!」
「悪いか」
なんとか鬱憤を晴らそうと出迎えた駄目眼鏡に絡む。
「ちょ、ちょ、ちょ、お、沖田さんんんん?!」
「総悟」
「・・・チッ・・・」
「・・・し、舌打ち?!・・・」
「いくら新八が駄目眼鏡でも、店の中では暴れちゃ駄目よ、総悟」
「・・・わかりやした・・・」
「ちょ、ちょっと待って!!?なんか店の中以外だったら殺していいようなニュアンスに聞こえるんだけど?!てか、駄目眼鏡、関係なくね?!」
「...いちいちうるさい男アル・・・。そんなんだからいつまでたってもナンバーワンになれないのヨ」
「まったくだ」
「ちょ!それ関係なくね?!」
「はっ!何をほざいてるアルカ。・・・総悟はこんなやつになっちゃ駄目アルからな」
「もちろんでさァ」
「・・・(泣)」
「神楽ちゃ〜ん」
「金ちゃん!」
金髪の男が現れると繋がっていた腕は解かれた。
虚しさと苛立ちと、嫉妬と。
どれを一番強く感じるかなんて、もうそんなことはわからない。
「この前、いきなり帰ちゃって金さん、淋しかったんだかんね。ホント」
「ごめんアル。ちょっと用事思い出したのヨ」
「へェ〜。んじゃ、今日は~」
「わかってるヨ」
「おしゃあああああ!!!はい!ドンペリ10本入りまぁ〜す!!!」
「…」
◆◆◆
VIPルームに入った瞬間に、神楽は今までの
懐き具合は演技だったのか、と問いかけたくなるくらいに
冷ややかな目を向ける。
「金ちゃん、何か最近探りまわってるって本当?」
にっこりと口元に笑みは見えるが、しかし、総一郎君の前で言う台詞ではない。
「…総一郎君、ちょっと刀はおろして欲しいかな…な!
「…」
「…か、神楽ちゃん?総一郎君止めてくれない?」
「…総悟アル」
「うん!わかった!そうぎ君!」
「…総悟でィ」
結局総悟の暴走を神楽が止めることはなく、
なんだかんだと時間をくった。
神楽の考えていることなど理解したことは一度もないが、
今日は一層考えていることがわからなかった。
少し身構えて接客したが、その日は忠告だったのか、
何事もなく終わった。
しかし、それからというもの、
妙によそよしい神楽の様子が目立ち、
自分が気づかぬ内に神楽の存在が離れていくような予感がやまなかった。
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何故このタイミングでこの更新www
最近メインジャンル更新がなくて申し訳ない・・・。
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