2010年10月22日金曜日

眠レナイ、眠ラナイ。  (晴香→八雲) 

※恋人同士
※若干微エロを仄めかしてます
※キャラ崩壊


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真夜中、晴香はふと目覚めると、ベッドから抜けだし放置された衣服を身につけた。

「晴…香…。」


八雲が手を伸ばしてシーツを探る。まるで何かを求めるように。
探し物は見つからなかったのか、眉間の皺は深まったが。

「…八雲君…。」

晴香はそんな八雲の様子にクスリと笑うと、意地悪げに眉間の皺をつついた。
起きないようにそっと。しかし八雲はさらに眉間に皺を寄せる。
どうやら直らないことを悟った晴香は諦めたように息を吐く。
窓の外を見上げてみると、まん丸の月が見えた。
どうやら今日は満月らしい。


実を言うと、晴香は八雲とこんな関係になれるとは思っていなかった。
自分の片想いで終わるのだろうとずっと思っていた。
期待もしたし、自惚れた時もあったが、現実問題無理だとどこかで諦めてもいた。
だから友達という中途半端の関係に甘えてなかなか自分の気持ちを伝えられずにいた。
八雲との繋がりをなくしたくなかった。
近づいてこじれるぐらいなら、遠くても繋がりを保っていたい。

八雲を失いたくない。

怖かった。
自分に自信がないことも事実だったが、八雲に拒絶されたら立ち直れない気がした。
もう傍にいられない気がした。

八雲は多分心のどこかで自分自身を憎み、自分の存在を認めてはいない。
晴香が八雲を好きになった理由すら認めていないのだろう。
その気持ちがいつか晴香を遠ざけるのではないかといつも不安に思う。
そして一番怖いのは。


八雲は、どこかで自分が生まれるための行為すら本当は嫌悪しているのではないかと、
晴香はいつも考えている。


八雲はいつだって優しい。
時々意地悪もするが晴香を一番に考えてくれていることを知っている。
晴香を優先するために自分を抑え我慢していることも知っている。
嬉しいけれど、それでは八雲が心から自分を出せていないということだろう。
それは晴香にとっても辛い。



—ねぇ。でも八雲…。そんなことをあなたに告げたら、
私と離れようとするんじゃないかってすごく怖いの。

あなたの傍にいられないことも、
あなたに触れられないことも、
考えることすらしたくないけれど。

一番は—あなたに愛されなくなるのがとっても怖いの。

だって知ってしまった。

赤い綺麗な左目も、晴香に触れる意地悪だけど優しい手も、整った切ない横顔も、
力強く抱きしめてくれる腕も、八雲の全てが晴香を捕らえて止まないから。

いつか八雲が疲れたら、自分は八雲の手を離せるのか。
答えは否だ。
こんなに愛しくて愛しくて堪らない手を、どうしたら離せるというのだろう。
晴香には出来ない。無理だ。



…ごめん…ごめんね…八雲君…。

自分のことしか考えられない私でごめんなさい…—。



「…晴香…?」
「…あ、や、八雲君…ごめ、…起こしちゃった?」
「…泣いているのか。…泣き虫だな、君は」

来い、と広げられた腕の中で、八雲の匂いやぬくもり、心臓の音に安心した。

そっと気づかれないようにため息を吐くが、八雲は気づいたらしい。
八雲が眉間にしわを寄せた。

「…まったく、ため息を吐きたいのはこっちだ。僕の腕の中で何か文句があるのか」
「な、ないよ!ないけど!でも!違くてっ…!」

また涙が溢れだし、言葉が出ない。
これでは説得力がない。
違うのだ。彼に、ちゃんと伝えたいのに。

「今が、…幸せでっ…。ずっと、続けばいいのにって…」
「…僕も、幸せだ」
「ぇ…。」
「なんだその顔は?」
「…八雲く…」
「…僕がいる。…大丈夫だ」
「…うん…」

涙が止まらない。


ねぇ、八雲。
その言葉に、私はどのくらい縋っていいの?
どこまであなたに踏み込んでいいの?
私の居場所は、あなたの隣でいいの?

信じてる。信じたい。
―――どうか、信じさせて。

あなたが、私が。

ずっと、ずっと、一緒にいられるって。
幸せになれるって。

願ってる。祈ってる。



「「…愛してる。」」



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八雲が好きで堪らなくて、もし別れることになったらどうしようと不安に思ってる晴香と、
そんな晴香の心情を実は全てわかっていて愛してる八雲。
端から見れば馬鹿ップルだけど晴香はマジで真剣に悩んでる。
八雲はそんな晴香が可愛くて愛しくて堪らないので、知らないふりをしつつコソッと様子を窺ってる。
可哀想なのは晴香でズルい八雲。
でもそのうち八雲のそんな余裕がなくなるくらいの暴走を晴香がするので、結局はどっちもどっち。
お互いがお互いを愛してるから起こる騒動。
八雲も晴香もお互いのありのままを愛してるからどうしようもない問題だったり。

・・・語ってすみません。
私の文才のなさを補うためには、私のウザい解説がなければ伝わらない気がしまして…(汗)

私の書くキャラは弱いし脆いなぁ…。


ホントは晴香独白で終わるはずだったのですが、最後、無理やりつけたしました(^^;)
若干救われたのかな…?

タイトルセンスなくて困ってます・・・。
もういっそのことお題にしようかな・・・。

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