2011年6月2日木曜日

好きな色



※八晴

※若干捏造?

※激短文





晴香は、赤い色が苦手だった。
血のようで怖かった。

それを覆したのは、あの瞳の色だ。



どうして血だなんて思ったのか。

この世に、あんな綺麗な赤があるなんて信じられなかった。


見惚れた。


あんなに、優しく、温かい深い赤を、知らない。



夕焼けの優しさにも似ている。
太陽のような温かさにも似ている。
胸に刻む、その深い印象も。

それは、きっとすべて。

「八雲君が、持っているから、きっとその瞳の赤は綺麗なんだね」


私が八雲の父親の瞳を綺麗だと思わないように。

きっと、私が、誰かが、その赤の瞳をもってても、魅力半減だ。
八雲のモノだからこその、輝き。


「っ!」


「・・・八雲君?」
私、なんか変なこと言った?


心底不思議そうな晴香の視界に映らないように
八雲は無言で顔を背けた。


晴香は八雲の瞳が見えなくなったからか、
それとも八雲の機嫌を損ねたと思ったからか、
落ち込んだように瞳を曇らす。

そのことに気づく余裕もない八雲は、ただ己を制御することだけに懸命だった。


(・・・どんな殺し文句だ、それは)


結局八雲の顔の赤みと緩んだ顔がもとに戻るまで、
晴香と八雲は気まずい空気の中、同じ空間にいるに関わらず
視線も合わせず、会話もしないまま過ごすことになるのだった。



*********************



もし、そうだったら萌える!と思った。

0 件のコメント:

コメントを投稿