※出遅れどころか季節はずれもいいとこ
※八晴付き合い前
※大学のサークルなどは捏造有
3月13日。
明政大学はもうとっくに春休みに入っているのだが、
部活やサークルなどで大学にはまだ人がそこそこいる。
今日はやけに騒がしいな、と思っていると部室の扉が開く。
「やあ」
晴香が喜々として八雲の住む部室に入ってきたかと思うと、
いきなりクッキーやマシュマロ、ケーキなどを机の上にひろげた。
八雲でも知っている有名なお店のものや評判のお菓子ばかりだ。
さすがにこんなにたくさんは晴香が買ったとは思えない。
八雲のそんな思案顔に気づいたのか否か、
晴香はにこにこと笑顔で説明した。
「これ、サークルの人達にもらったやつなの♪私一人じゃこんなに食べれないし、八雲君も遠慮しないでいっぱい食べてね!」
「・・・」
甘いものは嫌いじゃないし、ちょうど小腹も減っていたのでとりあえず食べる。
「・・・こんなにどうしたんだ?」
「え?お返し。サークルのコンサートとかひと段落したし、明日からみんなもう実家帰っちゃう人多いんだよね。だから一日早いけど今日もらったんだ」
「・・・お返し?」
「あはは。やっぱり八雲君わかってない~。バレンタインのお返し。明日ホワイトデーでしょ」
「・・・」
そう言えば。
すっかり忘れていたが、もうそんな時期か。
「・・・あ~」
「いいよ。どうせ用意してないんでしょ。大丈夫。期待してませんから。・・・義理だしね」
「・・・」
それはそれでむっとする。
八雲はちらっと晴香の表情を伺ってみた。
晴香は怒って拗ねているように見せているようだが、
八雲には苦笑してる様子にしか見えない。
その横顔に、少しだけ寂しさのような悲しさがあるような気がするのは
僕の自惚れだろうか。
「・・・用意しないとは言ってないだろ」
「え?」
「・・・明日、街に出掛けるついでに買ってやる。どんなのがいいかわからないから、君が選べ」
「・・・いいの?」
「君に借りをつくりたくないからな。後でごちゃごちゃ言われたくない」
「・・・じゃ、いい」
「?!」
「・・・別に借りだなんて思ってないもん。日ごろ色々お世話になってるから、そのお礼のつもりだったのに・・・そんなこと言うならいらない」
「・・・」
面白くない。
他の男からの物は受け取るくせに、僕のはいらないのか。
自然、眉間に皺が寄る。
だいたい、何故他の男にチョコなんてあげたのか。
そんな余裕があるなら僕にもっと高級のチョコをよこせ。
居心地の悪い沈黙。お菓子の甘い匂いがなんだか場違いだった。
自分の部屋なのに、なんでこんな気持ちにならなきゃいけないんだ。
そう思ったら口に出ていた。
「・・・だいたい悪いと思わないのか。・・・男からもらったものを別の男にすすめるなんて」
「・・・え?」
「どっちの男に対しても失礼だ」
「・・・八雲君・・・」
なんだ、その顔は。
きょとんとしたかと思うと、少し照れたように赤くなる晴香。
まったくもって理解できない。
「・・・なんだ。そっかぁ。・・・あはは」
「・・・急に何なんだ君は・・・。気持ち悪いな・・・」
「ふふふ。なんでもない。やっぱりお返し買ってもらっちゃおうっと♪」
「・・・いきなりなんだ。さっきはいらないって言わなかったか」
「気が変わったの!何にしようかな~」
「・・・まったく・・・」
部屋の雰囲気がいつものように過ごしやすくなったことにほっと息を吐く。
君がいることが最早当たり前になった。
君がいない時は静かすぎて物足りない。
君がいてもうるさいだけなのに。
でも、何故だろう。
君と出会う前に戻りたいとは一度も思ったことはないよ。
帰り際、『ごめんね』なんて嬉しそうに謝って
『また明日』と帰っていく君を気づかれないように横目で見送る。
家まで送る、なんて口が裂けても言えないけど、
もしそう言えたならこの関係が変わるのだろうかとらしくないことを思った。
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バレンタインはスルーしといてホワイトデーのみってwww
うん、だって私基本もらう側だったからさwww
更新自重してたのでもはや時期なんて関係ないですがね(苦笑)
しっとりかな?
素直じゃない八雲君視点。
このネタは、薄桜鬼か八雲かかなり迷いました。
土方さんのほうがらしい気がしましたが、
こんな八雲君もみたいな・・・みたいな。
結局はこっちでした♪
このぐらいの長さがちょうどいいなぁ~。
いつの間にか長くなってしまう癖をどうにかしたい・・・。
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