※八晴
※未来設定
『例えば、それが君だったらいい。』
買い物帰りに夕日を見ながら歩いたりとか。
一日の最後に交わす口づけとか。
朝起きて一番最初に言う挨拶とか。
眠れない夜に寄り添ったりとか。
毎日御飯を一緒に食べたりとか。
「…そんなことを、想像した時には必ず君がいるんだ。君しか思い浮かばない。…いや、違うか。僕が君じゃなきゃ嫌なんだ。…そういう時に一緒にいる相手が、君だったらいいと思ったんだ。…君が、傍にいてくれたら、いいと思ったんだ。」
「…え?」
「…だから、その、君に、…僕の隣にずっといて欲しいってことだよ。」
「…なん、か、…プロポーズ、みたい…。」
「…みたい、じゃなくてプロポーズなんだが。」
「…。」
「…泣くな。」
「…泣いてなんか、ないもん…。」
「…泣き虫のくせに強がるな。」
「…強がっ、て、なんか…。」
「…そうか。…じゃあ、…返事を、聞かせてくれないか。」
「…っ…。」
晴香は涙を無理矢理止めようとするが、逆に溢れてしまう。
焦って乱暴に擦ろうとすると八雲がやんわりとその動作を防ぐ。
そして宝物を扱うように優しく晴香の目元に指を沿え、涙を拭う。
八雲の行動に何も言えずにいる晴香を無視し、八雲は何度も目元にキスをする。
まだ溢れる涙を止めようとするかのように。
「…そんなの、決まってるじゃないっ!!」
晴香はなんだかもどかしくなって、八雲にぎゅっとしがみつく。
「…八雲君が、好き。…だから、私とずっと一緒にいてください。」
「…ああ。…当たり前、だろ。」
君の面倒をみるのなんて、僕にしかつとまるわけないだろ。
なんだか偉そうなその一言にちょっとむかついた晴香だったが、
八雲が一瞬震えたような気がすると、そんな気持ちはどこかにいってしまった。
(まあ、いいか。)
八雲の隣にずっといられる約束が嬉しくて。
八雲に抱きしめられている今、この瞬間が、幸せで。
涙が出そうなくらいに、堪らない感情が溢れるから。
今日は勘弁してやろう、なんて。
やっぱり、惚れた弱みだろうか。
晴香はそんなことを考えつつも、
甘ったるいような、しかし心地よい雰囲気に身を委ね、笑みを深くした。
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八雲プロポーズネタは色々あります。
もし違うバージョンも書いた時はまたか、と呆れず
お付き合いくださると嬉しいです!
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