2011年6月15日水曜日

待恋。



※現代パラレル
※土千







私の恋はいつも待つ恋だった。

彼が戦の最中戦っている時はただただ無事を祈って待ち続けた。
彼に置いていかれて離れ離れになった時も、ひたすら機会を待っていた。
彼が逝ってしまってからは、今までずっと再び見えることを待ち望んでいた。
そしてやっと再会しても貴方の記憶が覚醒するまで一年近く待って。
それに加えて二人の関係が教師と生徒から変わるまで更に一年ぐらい待った。

…そして、今も私は待っている。

いったい何のトラブルが起こったのか。
待ち合わせ時間はとうに3時間は過ぎている。
連絡があったのは不幸中の幸いだが、
時間の目処も立たたない中で待たされるのは少々厳しい。
だが、何だかんだと言って待っている私は相当の暇人か何かだ。

―――それとも、愛情が深い証だろうか。

なんて恋する乙女全開なことを考えていると、
走ってくる人影が見えた。
どうやら待ち人が来たようだ。
長身の細身にきっちりとしたスーツが似合っている。
短髪の黒髪はサラサラで思わず触りたくなる。
紫色の目もとても綺麗。

嗚呼。悔しくなるほどカッコいい。

これほどまでに恋焦がれる存在を、土方以外に千鶴は知らない。



「すまねぇ。遅くなった。」

「いいえ。大丈夫です。待つことには慣れていますから。」

「…あ〜。…悪い。」


私の笑顔を皮肉だと取ったのだろうか。
彼は罰が悪そうに目を逸らした。


「…待たせたな。行くか。千鶴。」

「…はい…。」


なんだか目頭が熱くなったが、気のせいだと思うことにして
差し出された手を取った。


私の恋は待つ恋だ。
待って待って待ち続けて、やっと手に入れた恋だ。

海を越えて追い続けた。
時代を超えて待ち続けた。

随分待たされたが、多分私は何度だってこの道を選ぶのだろう。

待ったことに後悔はない。

―――そう、今こんなにも幸せなのだから。

 
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タイトルは造語です。
まつこいと読んでください・・・。(そのままだな)

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