2012年1月14日土曜日

~ささやかな夢をこのまま~



※SYK(閻魔×金蟬子)

※現代パラレル
この設定が一応頭にはあります。






放課後の暗くなった空から、ぽつぽつと滴が落ちてきた。
昼間は晴れていたはずの天気にその変化が訪れたのは
あいにくにもちょうど金蟬子が学校の外へ出た瞬間だった。

今はそれほどではないが、歩いているうちに強くなりそうな気配に
金蟬子はため息をついてその場にとどまった。

置き傘があればよかったのだが、あいにく先日使ってしまい
乾かしてそのまま家に置きっぱなしになっていた。


「金蟬子、傘ねえのか?」

「悟空」

そんな彼女の困った様子に気づいたのか、
声をかけたのは学年が一つ下の悟空である。
彼もちょうどHRが終わったのか、それともサボってきたのか、
帰るようだった。

悟空は雨の時はいつでも傘を持っている。
彼の予想は100%的中なのだ。
よって今も彼の手には紺色の傘があった。

「入ってくか?」

「・・・いいのですか?」

「どうせ近所だろ」

「ですが、二人だと狭いですよ。濡れてしまいます」

「別にいい」

「・・・じゃあ、お言葉に甘えて・・・」

「あ」

「え?」

その必要ねぇかも、そう悟空が小声で呟き、校門に目をむけたので
つられて金蟬子も校門へと目線を移すと、
そこには目の前の人物にそっくりな良く知った人物が待っていた。

しかし、昨日のことを考えれば、それはあり得ない。
言いすぎた、と言った瞬間に後悔したほどのひどい言葉を
彼にぶつけたのだから。

そんな金蟬子の思考を知らないはずのない彼は口元に笑みを浮かべながら、
呆然と立ち尽くしている彼女のそばに歩み寄り、傘を差し出す。
もっとも、その傘は彼がさしているものだったが。

「傘を持っていかなかったろう」

「・・・」

「帰るぞ」

「・・・貴方はなぜそう私に甘いのです」

「甘いつもりはないが」

「いいえ、かなり甘やかしすぎです」

金蟬子のどこか拗ねたような彼を責める言葉にも
男は楽しそうな笑みを浮かべただけで
特に自分の行動を改めようとする様子は見られない。

金蟬子はそんな彼の様子が気に入らず、
昨日一度は冷めたはずの機嫌は再び急降下した。


「・・・もう少し、貴方は私に甘えてもいいと思います」

「そうか。・・・では、お言葉に甘えるとしよう」

「・・・っ!」


同じ傘の中に入り、もともと近かった距離が
さらに近くなったと思った瞬間、男の端正な顔が目の前に迫る。

こんな場所で、周りの目もあるのに、と金蟬子の中で一瞬駆け巡った思考は
胸の高鳴りと恥ずかしさの前で霧散し、彼女はギュッと目をつぶることしかできなかった。

このまま唇が重なるかと思われたが、それはある影が
強引に金蟬子と男を引き剥がしたことで回避された。

悟空は男の姿に気づいたときに自分はもう関係ない、とばかりに
姿をくらましていたので彼ではない。

やあ。と胡散臭いにこやかな笑顔で現れたのは
顕聖二郎真君、真名でいうところの楊漸だ。

「し、真君!」

金蟬子にしては珍しく取り乱して赤くなった顔を見られまい、と荒てているが、
楊漸はそれすらも面白そうに眺め、彼女の横から楊漸へ
恨みがましい視線を送ってくる男の睨みさえも受け流した。

「ふふふ。久しぶりだね。閻魔、金蟬子。相変わらずそうで安心したよ」

「・・・」

その言葉に揶揄が含まれていることを気にして金蟬子は俯く。

閻魔はそんな金蟬子を庇うように引き寄せようとするが、再び楊漸に邪魔される。
そして邪魔したことをなんとも思ってないどころか、
自分がそんなことをするわけがないだろうと、いわんばかりの態度で
楊漸は目を細めてそんな二人の様子を観察する。

「・・・なんだか金蟬子が年応相に見えるよ」

君はすごいねぇ、と朗らかに笑うが、それははたして褒め言葉なのか。
楊漸以外の者に感心されたのならば、そのまま素直に受け取るが、
この者の言葉では暗に年寄り扱いされてる気がしてならない。


「・・・」

邪魔されたことも含めて腹が立つが、この男に構えばそれだけ
自身が消費することも聡い閻魔は十分知っていたので
眉間にしわを寄せ、ため息を吐きだすことでその激情を抑える。
彼は自分の感情や行動が人のそれよりも激しいことを自覚していたし、
恋人の前で理性的ではない姿をさらすことは夜だけで良いと判断した結果だ。

昨日のことは結局うやむやに解決できたようだが、
このめんどくさい状況からどうやって抜け出し、
彼女と正式に《仲直り》を決行するか、男は真剣に思慮を巡らせた。


***********************


金蟬子が可愛くて可愛くて愛しくて、
すごく甘やかしてる閻魔王様。
金蟬子しか見えてなさそう・・・。

閻魔って名を現パロで使ってしまうとなんかシュールなので
できれば地の文には入れたくないプライド。
でも途中で崩れてる・・・。

男とか彼とかで書くのも限界があるよね・・・。
登場人物が少なければ書けるんだけど・・・(汗)


愛愛傘と喧嘩が書きたかったのです。

てか、中途半端すぎる・・・?

タイトルSYKになってるのに誰が気づいてくれるのか。
てかタイトル詐欺すぎる・・・。
ほんとは閻金←悟空になるはずだったので
このタイトルで書き始めたのですが・・・。
まあ、気に入ってるので変えたくなかったというね←

誰得でごめんなさい・・・。
ぴくしぶのコメがうれしかったんだ・・・。


0 件のコメント:

コメントを投稿