2011年11月24日木曜日

悪女。


※秋真

※未来捏造設定

※オリキャラ有




自衛隊員がいかに教育され指導されていたとしても、
やはりというか、当然というか、人間であり、
人間というもの中には気にくわない嫌な奴も存在する。

そんな奴とは適度な距離を空けるか、関わらないのが一番だ。
しかしながら、それが直属の上官であってはそういうわけにもいかなくなる。

秋庭は評判最悪の狸じじいと呼ばれるような上官のもとに移動となった。
別に左遷というわけではない。
その逆に昇進であるわけなのだが、
以前から聞いていた噂以上の男にとてつもなく苦戦していた。


「はぁ〜〜〜。」


こんな深いため息をつくなどいつ以来だろうか。


真奈が見たら笑いそうだな、と眉間に皺を寄せつつ考える。


「お疲れ様です。」

びっくりした。
まさか疲れでとうとう幻覚が見えたのかと思った。
それとも、自分のあまりの欲求が形になったのかと。
しかしそれは確かに本人だった。

「高範さん?どうしたんですか?」


無防備にこちらを窺う姿が可愛い。
そう素直に思う自分はきっと疲れている。
無意識に伸びた腕をなんとかひっこめる。
と。
「おお。真奈君。ここにいたのか」

狸じじい。と言いそうになる口を慌てて閉じて、
挨拶の敬礼をしようとするが、肝心の上官はこちらに気づいていないようだ。
ぴりぴりとした威圧感のあるオーラはどこへいったのか、
花が飛んでいそうなほどの柔らかな態度で
いつも厭味ばかりを告げる口を緩め、
ミスやちょっとした誤差も許さない、とばかりにこちらに
プレッシャーをかけながら睨んでくる目も、
今はまるで天使や孫を見ているかのようにきらきらしている。
そして、その視線の先には。

「二階堂さん!」


秋庭の最愛の女性にして妻である――真奈――。

と、いうか。

「真奈・・・君・・・?」
小声で呟いた声でやっと秋庭に気づいたらしい上官――二階堂――は
だらしなく下がった頬と伸びた鼻の下を戻すことなくにこやかに笑った。
どんな危険なミッションを成功させても、
演習でどんな素晴らしい成績を治めても
どんなにすごい技術を示してもけしてみることなかった顔だ。
こんなふうに笑えるのか、とポーカーフェイスの下で驚く。

「おお。秋庭か」

「二階堂一佐」

「あれ、高範さん、お知り合いなんですか?」

「上官だ。お前こそ、どうして・・・」

「いや、真奈君には以前丁寧に治療してもらったことがあってな」

二階堂は真奈の言葉をさえぎるように秋庭にそう告げると、
所で包帯が緩んでしまった。結びなおしてくれんか、と真奈にねだる。
すると真奈がはい、と素直に純粋無垢の瞳で頷き、
いそいそと素早く直していく。

秋庭はあまりの光景に固まるしかない。

だれだ、この男は。

「しかし・・・。まさか真奈君が秋庭の嫁さんとは・・・。秋庭、いい伴侶を選んだな。」
秋庭の肩をポンポンと叩くと真奈に結んでもらった包帯を嬉しそうに撫でて
今後も仲良くな、と去っていくその上官の姿に。
秋庭は目を見開いてその驚きを隠すことも出来ずに表した。

よりにもよって、あの男を手なずけるとは。
前も一度思ったが、やはり真奈は真の。

「この、魔性女…!」

「えぇっ!?なんでそうなるんですかっ?!」

「…お前なぁ!10年上の男誑すだけじゃなくて30も上の男も落とすたぁ、どんだけ射程距離広いんだよ!」

「えぇっ!私のせいなんですか、それ!?」

「お前のせいだ!ちったぁ自覚しろっ!」

「八つ当たりしてません!?二階堂さんには階級も年も上で当たれないからって、私に当たってません?!」

「うるせぇっ!俺を少しは安心させろ!」


「…不安、なんですか?」


真奈が心底意外そうに目を瞬かせた。
秋庭はそんな真奈の様子に溜息をつくと、
少し大人げなかったと思ったのか、ソッポを向いて気まずそうに言った。

「…俺は、お前に対して余裕だったことは一度だってねぇよ。」


真奈は予想外の言葉に反応できず、そのまま固まる。


秋庭もバツが悪いのか、ソッポを向いた為二人の間には沈黙が流れる。


「…嬉しいって言ったら怒りますか?」

何秒後何分後かはわからないが、ぽつりと真奈が呟いた。
聞こえなくてもいいと思ったのか、とても小さな声だった。


「…悪女。」


秋庭もまた小さな声で呟く。

真奈は大人げない秋庭の言葉にまた少しむっとしたが、
これも不安や心配の裏返しなんだと思うと頬が緩んだ。

そんな真奈の様子に苦虫を食べたような顔をした秋庭は、
悔しそうに真奈の名を呼ぶと強引に腕を引いた。


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秋真はもっと評価されるべき・・・!!!
もっと増えろ~~~><


真奈ちゃんは癒し系だと思う。
もう隊のアイドルになればいい。

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