※この設定を受け入れられる方のみ、お読み下さい。
※沖田編にもリンクしてます。が、読まなくても大丈夫に書いてあるはず・・・。
土方歳三。
いつも眉間に皺を寄せ、不機嫌そうにしている守護者の筆頭。
偉そうで厳しい奴だが、しかしやはり千鶴には甘い。
他の守護者とは違うのは、千鶴に張り付いて
ハーレムをつくっていないということだろうか。
他の奴が千鶴と菓子を食べたり、一緒に家事をしていても、何をしていても
あの男だけは部屋に引きこもっている。
いったい何をしているのか?
「あいつ、なんでいっつも部屋に引きこもってんだ?」
偶々、千鶴が土方にお茶を持っていく時、すれ違った龍之介は
常々疑問に思っていたことを口にする。
「・・・私の代わりに、お仕事をしてくださってるんです」
「そんなこと出来るのか?!」
「普通の場合はできませんが、そこをどうにかしてしまうのが歳三さんですから」
「・・・さすがっていうか、・・・なんでそこまで・・・」
守護者たちの千鶴至上主義っぷりは見てきたが、
家事などはすべて丸投げなので、気遣いの仕方がよくわからない。
家事はよくてなんで本来の仕事はだめなのか?
龍之介のそんな疑問を的確に察した千鶴は、苦笑しながら告げる。
「・・・歳三さんは、私に姫巫女の仕事をやらせたくないです。・・・姫巫女が、嫌いだから」
「はぁ!?」
「ふふふ。おかしな話でしょう?守護者になるのは黙認してるのに、姫巫女が嫌いだなんて」
「え、いや、・・・なんか意外だ」
千鶴のことは皆総じて好きなようだから、
この場合の姫巫女とは役目や立場をさすのだろうと龍之介は考える。
しかし、姫巫女が嫌いなのに何故守護者はいいのだろう?
そもそも、何故姫巫女が嫌いなのか?
龍之介の不思議そうな表情に、千鶴は小声で呟く。
目はどこか遠くを見つめているから、きっとその呟きは無意識なのだろう。
「・・・歳三さんの、大切な方を奪ったのは、姫巫女ですから」
まるで、自分を戒めるように、どこか切なげな横顔。
一瞬そんな珍しい千鶴の様子に目を奪われた龍之介だが、
その呟きの意味を理解すると固まった。
「・・・え?」
「・・・あ・・・ごめんなさい。しゃべり過ぎてしまいました。・・・これ以上言ってしまうと、お仕置きされてしまいますので、どうか今のは忘れてください」
お仕置きってなんだ、お仕置きって。
そう突っ込みたいが、怖くてできない。
墓穴を掘りそうだ。
ここは身を守る本能に従って何も言わずに龍之介は頷いた。
◆◆◆
近藤勇。
先代姫巫女の守護者で、歳三さんや総司さんの師でもある方だ。
そして。
―――先代の姫巫女である、私の母を庇い、亡くなった方。
私の命の恩人と言っても過言ではない。
あの方が守ってくれなければ、私は今、ここにはいないのだから。
守護者なのだから当たり前だと言われ、
むしろ誇りだ、守護者の鏡だ、
なんて100年以上の時がたった今でも称えられている。
当然ながら私は会ったことがない。
でも、やっぱり出来れば会いたかったなと思う。
歳三さんや、総司さんの、大切な方。
とても力のある、立派な妖怪だったらしく、
その影響は今も多くの妖怪たちに及んでいる。
死してなお、その面影は消えない。
苦しくなる。
私には、何もできないのに。
―――――代わりには、なれない。
◆◆◆
今は土方の仕事部屋となっている、元々は姫巫女の公室へ千鶴は呼び出された。
いくら土方が頑張ってはいても、どうしても千鶴でなければいけない仕事がいくらかはある。
それを片づける為などに時々呼ばれるので守護者の面々は
普段通りに思っていたが、千鶴は別である。
恐る恐る部屋に入ると、土方は自室のごとくくつろいでいた。
紙などはきれいさっぱりどこにも見当たらない。
いつもなら、あんなにあったのにさすがだ、と感心するところだが
今日紙が一枚も見当たらない、ということは
土方が千鶴を呼んだのは仕事の為ではない、ということだ。
「・・・今日も、随分龍之介を構ってたみたいだな」
ここに座れと促され、もはや二人きりの時は
定位置となっている土方の膝の上に大人しく座る。
ここで逆らうと怖い。
なんといっても、今日はひとつヘマをしている。
「・・・」
無言の千鶴の緊張をほぐすかのように土方は千鶴の髪を撫でている。
(ただ単に土方が千鶴に触れたいだけだという事実にはまったく気づかない千鶴である)
「・・・千鶴、・・・懐きすぎだ」
口調は責めているかのようで、眉間のしわだって深い。
だけど見つめてくる瞳には、千鶴を責める気持ちは欠片も見当たらない。
むしろ、千鶴を気遣い、すべてを許している。
この人は、出会ったときからそうだった。
けして大切な人を失った傷は癒えてはいないのに、
それでも私を守ってくれた。
私を許して、愛してくれた。
失ったものは、けして私では埋められないというのに。
ああ。この人には敵わない、と千鶴はいつもこの位置に座ると思う。
自分の存在が、すごく小さなものに感じる。
まるで、土方の手のひらにいるような。
もどかしい。
いつまでも、子供扱いだ。
でも、無条件で安心できるこの場所が心地が良すぎて文句が言えない。
そんな千鶴の葛藤を知っているかのように
土方は意地の悪い笑みを浮かべると
首筋に唇を寄せてから千鶴の耳元で囁く。
「千鶴。・・・口を滑らせた仕置きだ」
膝をかせ。
「・・・はい」
こんなことで良ければいつでもするのに。
なんて心の中で思いつつ、千鶴は頬を弛める。
千鶴は土方の髪を先ほどのお返しと言わんばかりに撫でながら、
【お仕置き】を受けた。
◆◆◆
「・・・なんだって・・・?」
「あれ?知らなかったの?ここの結界張ったのは土方さんだから、この中で起こったことは全部土方さんには筒抜けなんだよ」
結界って便利なんだけど面倒だよね~。おかげで悪いことができなくてさ。
なんて暢気に笑っている沖田に、
お前はそんなこと微塵も気にしないで悪戯してるだろうが、と
突っ込みたいのは山々だが、【お仕置き】の言葉を思い出して青くなってる
今の龍之介にはそんな余裕はない。
「・・・」
「あ~あ。真っ青。土方さんに知られちゃまずいようなことしちゃったんだ?」
君、終わったね。可哀想~。
なんて笑顔で言ってくる沖田を無視し、龍之介は頭を抱えた。
この場合の【お仕置き】対象はどちらなのだろうか。
普通だったら、言っては拙い話を口にした方が悪いと判断されるだろう。
よってお仕置きされるのは千鶴の方だろうが、そこはそこ。
千鶴に甘い守護者である。
余計なことを聞いたお前が悪いだなんだと
絶対に自分にとばっちりがくる。
記憶を忘れるくらいに殴られそうだ。
龍之介は運がない。
そこは自他共に認める事実である。
そしてこういう悪い感はよく当たる。
結局、龍之介の予感通りの事態になるのは
もう少し経った後のこと。
―――千鶴への、甘い【お仕置き】が終わった後のことである。
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土方さん編が他より若干甘いのは愛ですwww
うん、ごめん、贔屓だね(笑)
だって、本命は土方さんなんですもん!!
土方さんは厳しい方です。
故に喧嘩両成敗ならぬ連帯責任の【お仕置き】。
まあ、正確にいうと龍之介だけがダメージ受けてるんですけどね(笑)
龍之介君がいると楽ですね。話が進む。ホント出して良かった。
この人だけは話を脱線させずに話をスムーズにさせてくれます。
まさに潤滑油。
・・・扱いはひどいけどね。
いや、だってそんなイメージなんですwww
総司も動かしやすくていい。
けど、この人がいるとどうでもいい方向に話が膨らむので
困りもんです。
さて、次は風間さんかな?
・・・やっとご登場です!
いつになるかわかりませんが(笑)←
土方さんもまた出張る予定ですwww
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