※ラスラン(戦ワル)
※ぴくしぶUP済み
「―――俺のこと、好き?」
それは、幾度となく尋ねられる彼の確信を含む問いかけ。
絶対的自信と根拠があるから、ああも余裕綽綽に尋ねるのだろう。
少しずるいなと思う。
私はこんなにいっぱいいっぱいで、ラスティンに振り回され、胸を高鳴らせているというのに。
だから、ちょっと困らせてみたくなった。
たまには、彼の余裕を崩してみたかった。
にこにこ笑顔で私の返事を待っているラスティンに、わざと唇を尖らせる。
「…好きじゃない」
「…っ!」
一瞬目を見張った彼に満足し、私は笑顔で言い切る。
「…愛してる」
私からした初めての口づけは、すぐに終わるつもりだった。
触れるだけの一瞬の口づけ。
そして愛の言葉を言い捨てて、彼から逃げるつもりだった。
それなのに。
逞しい腕が私の腰を捉え、大きな優しい手が少し強引に顎を固定する。
腰を引き寄せられて、上向きに顔を持ちあげられ、私は逃げ場を失って、近づいてきた彼に食べられるかのように口づけられた。
本当に息ができない。
何度も角度が変わって貪られる。
自分が捕食動物になったかのような感覚だった。
淫らな水音がする。
彼の舌が私の舌と絡む。
私と彼を繋ぐ糸が厭らしくも美しく映った。
少しだけもらった息継ぎの時間に安堵していると、それはあっけなく終わった。
追いかけてくる唇に、舌を引っ込めて逃げ回るけど、そんな抵抗をものともしない彼に捕まって舌を吸われる。
彼の背中を叩いたり、引きはがそうと頑張るけれど、びくともしない。
私の手に力が入らないことも要因かもしれないけれど。
拒絶を許さない彼に結局振り回されることになった。
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