2011年12月13日火曜日

HAPPY LIFE



※レン春前提のプリ春(レン春の息子視点)

※ほとんど春ちゃん出番なし

※未来捏造

※アニメとゲーム設定混ぜあわせ









学校から帰ると、そこはアイドルの花園だった。

―――なんて聞くと怪しい響きになってしまうが、なんてことはない、
父親が所属するアイドルグループのメンバーが家に遊びに来ているだけだ。

何も聞いてなかったが、突然の訪問も嬉しいと感じるぐらいには親しんでいる。
テレビでも見慣れているし、小さいころから散々遊んでくれて
忙しい両親と同じくらい構ってくれたため、家族のように感じているぐらいだ。

1週間ほどライブをやっていたため、その打ち上げなのだろう、と検討をつける。

個人での活動もしているとはいえ、グループ内の仲がいい彼らは
なんだかんだとよく家に遊びにくるのだ。
きっと、母が目当てなのだろうが。


「なんだ、帰って来たのか。早かったな」

「父さん」

息子ながらいまだに父親、という言葉が似合わないと思うほどの
いつまでも年若い美貌の父親を見上げ、ただいま、とあいさつをする。

「母さんは?」

「今日いきなり急ぎの仕事が入ってね。打ち合わせに出掛けたよ。もう少しで帰ってくるんじゃないかな?」

なんてやりとりをしていると、噂をすれば母親の帰りを告げるチャイムだ。
防音のこのマンションは、帰って来た物音では帰宅がわからないため、
自宅に入るときでも母親に限ってはチャイムを鳴らす。
というのも。


「おや。ハニーのお帰りのようだね」

――結婚して15年以上経つにも関わらず、いつまでも新婚気分のこの父親のご所望だからだ。
曰く、ハニーが帰ってくる場所は俺でありたいから、だそうだ。
ちなみに母親の場合は作曲に集中していたり、父の帰りが遅いと
チャイムが鳴っても出れないため、父が自重したようだ。
俺はハニーのところにしか帰るつもりはないから別にいい、とのことだそうだ。

まるで初めて恋をしている少年のような甘くうっとりとした顔で玄関に母を迎えにく父。
もはや見慣れた光景のため、何の感慨も浮かばないが、
その行動を知った時のST☆RISH――父親が所属するグループ――
のメンバーの反応はそれはもうひどく呆れかえっていた。

あまりにも自分がそれを自然に受け入れていたため、
メンバーからあれは普通じゃないんだぞ?!と必死の形相で諭されたのも
今となってはいい思い出だ。

今ではメンバーのだれもが父のこの行動を諦めている。

きっと玄関先ではどこの新婚カップルだ、というような甘く濃厚なやりとり
――主に抱擁やらおかえりやらただいまのキス――が行われているのだろう。


最初はST☆RISHのメンバーも喜々として迎えにいきたがっていたが、それとなく止めた。
ST☆RISHの面子のダメージと邪魔された後の父の機嫌、
そして次の日の母親の体調を気遣っての行動だ。
自分の気持ちをよんだのだろう、トキヤの制止も功をなしたようだった。
今では暗黙の了解で帰宅後の両親のふれあいに首を突っ込むものはいなかった。

父親が去った後に一番に声をかけてきたのは
チャイムが鳴ってからそわそわしている音也だった。

「久しぶり。元気だった?」

「お久しぶりです。おかげ様で元気です。音也さんも、お元気そうでなによりです」

いつもテレビで拝見してます、というと、ありがとう!と嬉しそうに笑う彼は
少年のようで、今年で30代半ばとは思えない若々しさだ。

「なんつーか、大人になったなぁ」

「ありがとうございます」

しみじみという翔とはもう身長が同じぐらいになり、
彼が一番自分の成長を感じてくれているのではないか、と思っている。

「うむ、本当に大きくなったな」

「ホントですねぇ。ますますレン君に似てきましたし」

頷く真斗には父親以上に躾や作法を教わったし、
那月にはさんざん可愛がられた覚えがあるのでなんとなく恐縮する。

「よく、言われます」

「しかし、中身は七海君似で何よりです」

心底そう思っているのだろうトキヤは、今でも母を旧姓で呼び続けている1人だ。
メンバー内では他に音也も七海呼びである。

「そうだよなぁ。これでレディ、とか言ってたら・・・」

「・・・」

ハニーとダーリン呼びの親を持って生まれたので
レディという言葉を使え、と要求されれば別に違和感なく言えるが、
言わない方がいいだろう、と内心で思うだけにとどめ、曖昧に笑う。
それを苦労しているためだ、と思ったのか、翔は不憫気に目を潤ませた。

「・・・お前も大変だよな・・・。あのレンが父親・・・」

「そうですね。レンは自重しきれていませんし・・・。・・・両親の仲がいいのはいいことでしょうが、あの二人は少々いきすぎというか・・・」

子どもの教育に悪い、と言いたげなトキヤは眉間のしわを深めた。

「そうですかあ?レン君も、ハルちゃんも、とってもいいお父さんとお母さんだと思いますよぉ」

那月はニコニコと笑っているが、真斗はそれに首を振る。

「いや、ハルがいい母親なのは否定せんが、神宮寺は父親として問題有だろう」

「マサ、息子の前で父親を全否定しちゃうのはまずいと思うけど・・・」

音也が宥めるが、まずあいつの行動がチャラい、年相応の服装を~だのと
真斗の説教めいた言葉は続く。
そんなことには慣れているのでスル―してとりあえず、とお茶を勧める。

もはや家族と呼べるような関係だが、お客様であることにはかわりはない。
レンが中途半端にしてしまった準備をしようとするとそれをやんわりと止められる。

「あ。ありがとう。でも、せっかく七海が帰ってきたみたいだから、七海にいれてもらいたいな」

「そうですねぇ。僕もハルちゃんにいれてもらいたいです!」

頬を赤く染めてさりげなく主張する音也に、それを笑顔で肯定する那月。

「お前たち、せっかくの好意を・・・。・・・だが、確かにハルのいれる紅茶は格別だ」

「・・・聖川さんも、大人げないですよ・・・。まあ、七海君の紅茶は美味しいですが」

「・・・トキヤ、お前もな」

ST☆RISHの中では比較的常識人の真斗、トキヤ、翔も何だかんだといって
やはり自分ではなく母にお茶をいれて欲しいようだ。
自分の立場としてはここで憤慨するのが普通なのかもしれないが、
しかし彼らの切ないまでも一途な面を知っている自分にはそんな感情はわかなかった。
ため息1つ吐いてとりあえずあきれたようなポーズをとると、
彼らは大人気ない自分たちが気まりが悪いようでこちらを伺ってくる。

「ごめんね」

「すまない。その、・・・今度来た時には、お前のお茶も飲ませてくれ」

「それいいですね!楽しみにしています!」

「七海君によくコツを聞いておいてください」

「わりぃな」

「・・・かまいませんよ」

彼らがいかに母のことが大好きなのか、知っているから。

結婚してもいい歳なはずの彼らはしかし、まったくそんな様子を見せない。
いつでもその瞳が捕らえているのは一人だけだ。

彼らにとって唯一の特別な女性の子供である自分には
とても居心地が悪いような、申し訳ないような気分になることもあるのだが、
一人だけ抜け駆けした父が悪いのだ、と結論づける。

まだかまだか、と玄関先をちらちらと見ている彼らの、
待ちに待ったかの声はようやくその場に響いた。

もはやST☆RISHはその声の人物しか目に入っていないだろうが、
玄関で十分に母を堪能したらしい父がにこやかに歩いてきたのも自分にはわかった。

「みなさん、お疲れ様でした!」

「七海!」

「ハルちゃん!」

「ハル」

「春歌!」

「七海君」

それぞれ独自の母の名を呼び、笑顔で向かいいれる彼らの胸元では
その笑顔と同じくらい輝く母とST☆RISHおそろいのネックレスが光っていた。


***************************


これをぴくしぶにUPする勇気はないです。
でも、もしかしたらこれを基盤としたものを書くかも・・・。

レン春の子供の名前が思い浮かばない・・・。
真春と音春と光春とかなら浮かぶのですが・・・。


春ちゃん好きすぎて生きるのがつらいプリンス様たちがかわいい。


0 件のコメント:

コメントを投稿