2012年5月25日金曜日

この世界で生きるということ



※円撫+レイン

※帰還ED








目を開けて自分が生きてることが、
果たして幸福なのか不幸なのかわからなかった。


ぼんやりとした頭でなんとか現状を把握しようと思考を巡らせる。

見たことのない部屋だったが、ただ寝かされているだけらしい。
拘束も監禁もされていない。
てっきり殺すつもりだと思ったら違ったようだ。
さすがはお優しいキングだ。
自分のモノに手を出されても理想は貫くつもりらしい。
もっとも油断していた為に一撃でやられてしまったが。

――彼女は無事に帰れただろうか。

「…撫子さん…。」

無意識に呟いていた名前は不幸なことに他人に聞かれてしまった。

「おや〜君が自分で帰したのに、随分未練がありそうですね。」

「…!…ルーク…。」

「久しぶりですね円君。」

いつの間にかドアの前に立っていたのは元仕事仲間で先輩であるレインだった。
キングでなくて良かったのか、それとも逆に厄介か微妙な所だ。

「…なぜ、…。」

続く言葉が出ない間にルークは疑問を拾いあげる。

「なぜキングがここにおらず、僕が来たのか?なぜ君はこうしているのか?――答えてあげますよ。君が疑問に思うこと全て。もちろん、それ以外も、ね。」

「…。」

「それが僕の役目…というか、キングの命令ですから。あ〜ちなみにキングは仕事…というか、また研究に没頭してます。で、君の力が必要らしいんですよ。つまり、君は生かされているんですよ。我らが王に。」

底知れぬ笑みに悪寒を覚えた。

あのまま目覚めない方が幸せだったかもしれない、
と目覚めてすぐに抱いた疑問に答えを見つける。

とりあえず冷静になろうと目を閉じて、心の中で彼女の名を呼ぶ。

返事が返ってくることなどないとわかっているのに、
期待してしまう自分が愚かで自嘲が零れた。

しかし彼女を送り出したことに後悔はない。

――少しは罪滅ぼしができただろうか。

彼女を追い求める気持ちも、恋い焦がれる気持ちも、消えるはずはない。
今だって叫び出したいほど胸に燻っている。

だけど、彼女の笑顔の為に、幸せの為に、自分がしたことは
間違ってないと思えた。

それだけが、今自分がこの世界にいる唯一の意味だった。



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寅の帰還ED後の妄想したので円もやってみた。

きっと寅よりは円のが穏やかに結果を受けて止めてると思う。
しかし彼のその後が心配…。
あああああ…。

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