※風千(オリキャラ子供あり)
※未来捏造設定
~ルドベキア~
花言葉:正しい選択、公平、立派な
もともとは政略結婚と言ってもおかしくない縁組だった両親は、
しかし結ばれたのはお互いの愛情故だった。
西の鬼と東の鬼。
対極の存在のようなのに、喧嘩しながらも仲睦まじい両親は彼の理想の夫婦像だった。
それでも彼は政略結婚に嫌悪を抱いていたわけではない。
家を守る為ならば仕方がないことだと受け入れられる気持ちはあったし、
特に恋愛結婚に憧れていたわけではなかった。
彼は自分の家族も家臣も好きだったし、何より里が好きだった。
一族を何より大事にしたかった。
———そう、あの日までは。
か
彼は知ってしまったのだ。彼女の人を。
もし彼女を知らないままであったなら、
彼は決められた相手と結婚し、その者を愛しただろう。
しかし、もう彼女と出会ってしまった彼にとってその仮定は意味のない話だった。
これほどまでに激しく熱い感情を、彼は知らない。
言葉などでは表せない。
もしかしたら、父もこんな気持ちで母を想っているのだろうか。
***
「最近、なんだか千早の様子がおかしいんです…。千景さん、何か知っていますか?」
「…さて。あやつのことはお前の方がわかっているだろう。」
「…でも、千早は千景さんに相談したいように見えます。」
「…統領としての自覚が芽生えたか。」
「え?」
「…いや、…あれはそう馬鹿ではない。ほうっておけ。お前のように、無謀な行動は起こさん。」
「千景さんっ!」
自分の無謀な行動を指摘されたことに怒ったのか、
千早を放置する態度を咎めたのか、あるいは両方か、
千鶴は声を荒げるが、千景は気にした様子もなく
呑んでいた酒の残りを呷る。
千景のそんな態度にますます腹が立ったらしい、
先程までお酌をしていた千鶴は、ぷいとソッポを向いて立ち上がる。
「〜っ!もういいです!」
しかし千景は空いている方の手で千鶴の手を掴み、
その場に引き止める。
「待て。…そう怒るな。…酒がまだ残っているだろう。」
「今日はもう駄目です!」
この期に及んで酒の心配かと
怒りがありありと書いてある千鶴の顔に千景は手を伸ばした。
千景の余裕釈釈の笑みを悔し気に見つめながらも、
千鶴は抵抗しなかった。
不本意だが、大変不本意だが、
ここで何か反抗して後でいちゃもんをつけられた方が面倒なことを、
千鶴はもう知っている。
「…子離れは淋しいか、千鶴。」
「な、今はそういう話では…!」
「落ち着け。」
千景は頭に血が上っていて赤い千鶴の頬を宥めるように優しく撫でる。
「…別にあれの心配をしていないわけではない。」
「…それは、…わかっています、けど…。」
千景の本心はわかっていてもその素っ気ない態度に
納得いかない千鶴は、下を向いて千景の視線から逃れようとする。
しかしもちろん千景がそれを許す筈がなく、顎をもたれて固定される。
「…あれが次期風間家頭首としてどう判断しどう処置・行動するか、俺は現頭首として見極めねばならん。」
親としてでは、なく。
「…。」
「こればかりは一族を率いる頭首として、譲るつもりはない。」
千鶴は千景と千早の立場のもどかしさに唇を噛む。
千景はそれに眉を寄せ、杯を置いて指で千鶴の唇を労るようになぞった。
「…だが、お前が慰めたければ好きにしろ。別に咎めはせん。」
「…。」
「…何か言え。…お前が黙ると調子が狂う。」
「…。」
それでも黙っている千鶴に千景はため息をつく。
「…我が妻は手のかかる。」
千鶴の瞳には涙が溢れていた。
「…わ、私、はっ…。」
千鶴は千景の味方にも千早の味方にもなりたい。
千鶴は今まで二人の喧嘩や争いごとに口をだしたことはなかった。
家族を増やし、千景の味方を増やすことが千鶴の目標だ。
けして波風を立てたかったわけではない。
千早とて手塩をかけて育てた愛しい息子だ。
2人を比べられないくらいどちらも愛している。
どちらか片方の肩を持つのは無理だ。
「…泣くな。…お前が悲しむ必要はない。…幸いなことに、跡取りはまだいる。」
あやつがどんな結論を出そうとも、
それの尻拭いは誰にでも、まだどうにでもできるのだと、
親の目か、一族の長としての目か、どちらか判断がつかない瞳のまま、
千景は言った。
「…そして、その選択肢を与えたのは、お前だ」
「え…」
「…お前が悲しむ必要はない。…お前が出来ることは、とうに全てやっている」
「…千、景さん…」
「…あいつの選択肢が増えたのは、お前のおかげだ」
「…」
「…お前は母として、そして統領の妻として、…我が妻として、よくやっている」
「…千景さんっ…!!」
千景の腕の中でわんわんと声をあげて泣く千鶴に、
千景は苦笑した。
「…相変わらず、泣き虫な妻だ」
「…う…っ…」
「…千鶴。…愚息の不幸を憂うより、もっとすべきことがあると思わんか・・・?」
「え?」
「…選択肢増やす、ということだ」
「…ぁっ…!千…景…さ…っ」
***
「はぁ~~~~」
「ん?どうした千早」
「…匡おじさん…」
「いや、だからその呼び方やめろって」
「…いや、…いい年こいてイチャつくような人になりたくないけど、…なんか、自分もああいう風になるのかなって…今から未来に自己嫌悪?」
「…あ~。…なんとなくわかった。…風間のやつ、まだ子供作る気かよ」
「…あははは」
求めてしまう気持ちが分からないでもないけれど、
自重は必要だ。
二の舞にはなるまい。
…ああ。でも。
キミがそんな僕を知ったらなんて言うかな。
…なんて。
想像してしまった僕は、やっぱり父の血を濃く受け継いでいるらしい。
****************************
何が書きたかったのか、わからなくなった・・・。
没にしようかと思って、もったいなくてできなかったっていう
相変わらずの貧乏性ですみません・・・。
久しぶりの更新がこれってどうよ・・・。
誰得・・・www
0 件のコメント:
コメントを投稿