※SYK(八玄←空+真)
※若干ネタバレあり
※設定捏造(八戒ルートに真君ルートと悟空ルート混ぜ合わせ)
「あ〜姫さ〜ん〜っ。」
「は、八戒!離してください!みんないるんですよ!」
「…玄奘、いいじゃね—かよ。好きにさせろ。お前も満更でもねぇんだろ?」
「そ、それは…。」
「ったく、素直じゃねぇな。」
「…。」
玄奘はその言葉に小さくなる。
知っている。自分は素直じゃない。
甘いたいのに甘えられなくて、強がって失敗ばかりだ。
可愛くないことは自覚済みだ。
八戒にもそう思われているかもしれない。
悟空は沈んでいる玄奘の様子に気づくと慌てたように付け足した。
「ま、まあ八戒はそんなお前がいいんだろうけどな。」
悟空の言葉が聞こえているのかどうか微妙な玄奘に、
悟空は内心冷や汗をかいた。
酒の力かどうか、何やら弱気になっているらしい玄奘を
このままにしておくのはまずい。
マイナス思考になっている彼女がこのまま負のループに陥っては、
良いことが起こるはずがないからだ。
真面目でお堅い玄奘だ。
自分の欠点を責めて八戒にも玄奘にも周りの為にもならない結論を出しかねない。
そうなってしまえば取り返しつかないことを悟空は悟っていた。
玄奘は頑固で頑なだ。
なかなか結論を覆したりはしないだろう。
原因が自分などという面倒なことは勘弁だ。
どうしようかと悟空が焦っていると、八戒が寝ぼけ眼で顔を上げた。
先程から玄奘を抱きしめてご満悦の様子だったが、
玄奘が落ち込んでいる様子に気づいたのか、
八戒まで不安げな顔をして玄奘の顔を覗き込んでいる。
「…姫さん?どうした?」
「…八戒…。」
八戒は今にも泣きそうな顔にキスを贈る。
しかし、玄奘が逃げるそぶりを見せたので頬を挟み込む。
「…なんで逃げるの?姫さん。」
「…八、戒…。は、恥ずかしいです…。」
「〜っあ〜〜もう〜!姫さん可愛い過ぎっ!」
「…勝手にやってろよ。」
バカップル丸出しの二人に
はぁ〜〜〜と深い深いため息をついた悟空は、
心配して損したというようにげんなりと顔をしかめた。
しかし玄奘が幸せそうな笑顔を見せたので内心溜飲を下げた。
「…。」
まるでお伽話のような二人に目を細める。
それは、自分では与えられない幸福・笑顔・雰囲気。
幸せならば、構わない。
こうして再び見えることができただけで自分は満足だ。
隣に並ぶことが叶わなくても、その笑顔が別の方を向いていても、
ただ彼女が笑っている、ただそれだけで自分はもう十分だ。
最期に見た、あの子供が泣くのを堪えるような切ない顔を、
上書きできるならば、もう、自分は。
「…君も本当に無欲だねぇ。手を伸ばせば届く位置にいるというのに、手を伸ばすことすらしないのかい?…本当、馬鹿だねぇ。」
「…楊漸…。」
まるで心をよんだように表れた仙人に、
悟空は再びげんなりと肩を落とした。
「…君のそれは、大聖?それとも閻魔の?…あぁ、君のもの、というのも有り得るね。」
「…楊漸。」
楊漸のその言葉に悟空の肩がぴくりと動いた。
怠そうな雰囲気はそのままに、しかしその目は怖いほど深い。
それ以上の言葉を制するように発せられた名は、
冗談が感じられない威圧感。
しかしながら、そんなことにはびくともしない次期玉帝は
涼しげな顔で受け流した。
「…本当、君のその不器用さは一体何なんだろうね。見ているこちらが疲れるよ。…今世でも、君はまた諦めるんだね。」
「…。」
「やれやれ。本当に馬鹿だね、君は。」
「…そういうお前はどうなんだ」
「…なんのこと?」
「…お前が踏みとどまれたのは、誰のおかげだと思っている、ということだ」
「…大聖の、おかげだよ」
「本当、いい性格してるぜお前。まあ、しゃーねーな。…そういうことにしとてやるよ」
「ふふふ。お互い様だと思うけどね」
「…」
こいつと同じは嫌だな、と心底嫌そうな表情を浮かべた悟空は、
来た時と同じく唐突に消えた楊漸を気にも留めず、
八戒と玄奘に目を向けた。
こっちが切なくなるくらい、幸せそうに
寄り添って眠る二人の姿に、
言いようもない感情が浮かぶ。
それが負の感情なのか、よく分からないまま、
悟空は杯を仰いだ。
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悟空が本命だけど、八戒も好きなんだよ!
八戒の人気のなさに私が泣ける。
もちろん、大本命はあのお方ですがwww
ちなみに大聖も大好きだ!!
てか、SYKはもっと評価されるべき!!!
久々更新がメインジャンル外でごめんなさい・・・。
しかし、多分これからSYK更新が続く・・・かも。
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