2016年11月20日日曜日

【騎士の願い】レンド妄想設定*ギスヴィオ


※ツイッターでつぶやいたレンドの捏造妄想設定。
※ギスヴィオかもしれない
※ルイヴィオもちょっとあります


【妄想捏造設定】
昔は別々の4国だった東西南北の国をひとつの国まとめてソルヴィエルという国が生まれた。
過去の歴史を鑑み、これ以上の争いを生まないために女王(レーヌ)制を布いた。
レーヌはパルテダームという4つの地位の中心となる場所に王都を作った。
数百年はレーヌによる統治により平和だったが次第になかなか女王が生まれず(生まれても途中で殺される)王不在で荒れた国になる。
それをなんとかしようと宰相がヴィオレットを隠して育てる。
そして4つの地域の代表者として4人の騎士を任命して女王の補佐とする。
4蝶は騎士の秘書的な役目(補佐と監視)を担う。
4つの国はそれぞれ問題を抱えていて、資源を求め争いになりやすいので、女王がそれぞれの国から物資(グラース)の配分を決めることで統治を行う。


【騎士の願い】

北の国
ピヴォワンヌ

南の国
カンパニュール

東の国
クリザンテーム

西の国
ウィエ


北の国は、数年に一度の頻度で発生する大寒波。
南の国は、権力争いによって生まれる内乱。
東の国は、干ばつ被害による水不足や食糧難。
南の国は、自然災害による土崩れや河川の氾濫。

「…」

もっと力があれば、と何度自分の無力さを嘆いたかわからない。
それでも泣いているばかりではいられない。
自分はこの国を統治する『レーヌ』なのだから。

◆◆◆


「ギスラン様」

どうやらあまりに深く考えこんでしまったらしい。
メイドの気配に気づくのが遅れたギスランは己の失態を悟った。

眉間に皺が寄って普段よりも一層険しい顔をしたギスランが近寄りがたいのか、メイドはおずおずと信書を渡してきた。

嫌な予感しかしない。
あのか細い肩にどれだけの重荷を背負わせるつもりなのだろう、と幾度となく呪った『運命』とやらに恨み言を募らせる。
それでも受け取らないわけにはいかず、忌々しく舌打ちをしつつギスランはそれを荒々しくふんだくった。

「下がれ」
「は、はい」

メイドに八つ当たりするな、と褄紅がいたならば苦言を述べるだろうが、あいにくと出張中である。
もし褄紅がいたのならば、この苛立ちをはらすべく、問答無用で手合わせを申し込んだのだが。

手にした手紙の内容は、やはりこの状況に追い討ちをかけるようなものであった。
自分の力でどうにか解決できる内容ならば、これ以上の負担を主にかけぬべく胸のうちにしまっただろうが、
このような国存亡に関わる事態を報告せぬわけにもいかない。
そして何より、忠誠を誓う主はギスランが秘密にすることを悲しむだろう。
信頼を示すのならば、全てを預け全てを話して欲しい、と以前訴えられたことを思い出す。
ギスランなりに主を思いやった行為であっただけに納得いかぬ出来事でもあったのだが、その出来事が主と騎士たる自分の距離を近づけたことも事実だ。
またあの悲壮な顔を見るのは本意ではない。

自分が唯一無二の忠誠を誓う主・レーヌのもとに赴くべく、ギスランは重い腰を上げた。

レーヌが座する神殿の大広間に辿りつくと、そこには南の騎士の姿があった。
カンパニュールのルイだ。

なにやら込み合った話をしているらしく、二人の間には緊張感漂う空気が流れている。
ヴィオレットが深刻な憂い顔をしているのを見ると痛むこの胸には、気づかないふりをする。
二人の話を遮るのは憚られ、少しタイミングを計ることにすると、話は終わりに向かったようだった。

「我が国は残念ながら一枚岩ではない。困ったことにね。…他国からの侵略の危機だというのに、まったく老獪な腐った官僚は何をしているのやら。」

「…貴方には苦労をかけるわね。ごめんなさい、ルイ。私ももう少しそちらに顔を出す時間があればいいのだけど」

「君には君にかできないことがある。そう言ったのは私だよ。それに、こういった腹芸は得意だ。君は今、国内の政治は私たちに任せて、外交に力を注いでくれればいいよ」

「…ありがとう。私は、貴方たち騎士に甘えてばかりね。」

「願ってもないことだよ、姫。君はもっと私たちを扱き使ってくれて構わない。そのために、私たちは存在するのだから」

ルイはヴィオレットの手のひらに口付けを落とし、その場を辞した。
ギスランの気配に気づいていたのだろう、すれ違いざまに意味ありげな笑みを向けられた。

その余裕で甘ったるい顔を腹立たしく思いつつ、職務を全うするために頭を切り替える。
個人的感情を優先している場合ではないことは承知している。

「…レーヌ」

「ごめんなさい、待たせてしまったわね。」

「いや。こちらこそ、立て込んでいるところ悪いが、良くない知らせだ。我がクリザンテームからの信書で…」

淡々と報告を重ねるギスランに、ヴィオレットは相槌を打ち、時には質問を交えながら的確な指示を出す。
以前この大広間でレーヌと騎士として初めて合間見えた時には、あまりにも頼りなくか弱き女であったのに、随分成長したものだ、と再度痛感する。
それでこそ、己が忠誠を捧げるにふさわしい主だ、と誇らしい気持ちであるのとは反対に、もどかしい衝動も生まれる。

「…ギスラン?…どうかした?何か、まだ報告事項が?」

気に入らない。

ギスランがそう思った時にはもう顔に出ていたのだろう。
ヴィオレットは自分が何かしてしまったのだろうか、と不安そうに表情を曇らせた。

「…なにか、もっと命令はないのか」

「え?」

「…貴様は『レーヌ』だ。もっと己の騎士を頼ってもいいのではないか」

「…ありがとう、ギスラン。でも、貴方たちがいてくれるだけで、私はとても助けられているのよ。貴方たち騎士には本当に感謝しているわ」

その表情を見れば、心の底からそう思っていることがわかる。
しかし、ギスランはそんなことを言わせたいわけではない。

「…お前は、よくやっている。」

「…っ!」

「休みもせず、ただ仕事ばかり。女の身で、無理を重ねるな。そう肩肘を張らずとも、お前を支える騎士が、俺が、いることを忘れるな」

ギスランはただ黙って涙を流すヴィオレットを抱きしめた。

このまま、どうか、少しでも彼女を癒せるように。
明日に立ち向かう気力が湧くように。
彼女の励ましになるように。
彼女を勇気付けられるように。
彼女の力になれるように。

己の願いは、それだけなのだ。


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このギスランはあくまで己の想いを騎士としての忠誠と信じて疑ってないといいです。
ギスランすごく良かった…


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