※八晴
※未来(同棲設定)
※晴香の友人としてオリジナルキャラが登場します
「ね、飲みにいこう!!」
それは、お酒が強くない友人にしては珍しいお誘いだった。
「おいし~~!!」
いつもは彼氏に禁止されているらしく、お酒は控えめにしている晴香だが、
今回はそれを忘れているかのように、あるいはわざと無視しているように、
お酒を飲みまくっている。
暑かったのか、服は少々乱れ、目はトロ~ンと潤み、赤くなった頬、
舌足らずな口調、甘えたようなしぐさ。
女の自分から見ても色っぽい。
彼氏がお酒を止めている理由がわかる。
この場に女子しかいないのが救いか。
こんなとこ、あんたの彼氏に見られたんじゃやばいんじゃないの、
と思いつつも、飲ませたのは自分たちなので
なんともいえないが。
どうやら彼氏と喧嘩したらしい晴香は、
別れてやる~~~!!といつもどおりの文句をいって飛び出してきたらしい。
彼氏のほうにも問題があるのか、喧嘩など珍しくない2人なので、
いつもはランチしたり、カフェなどではいはい、と愚痴を聞いたりして
すっきりした晴香を彼氏のもとに帰す、というのが
いつの間にか自分たちの役目になったのだが、
晴香からお酒を飲もう、などといってきたのは初めてのパターンだ。
とりあえず潰そう、となったのは、愚痴を吐かせるのに手っ取り早い、
と思ったからであって、特に何も裏はなかった。
しかし。
これはさすがにまずいかもしれない。
こんな状態では帰れないだろうし、
彼氏に早く引き渡したほうがいいだろう。
そう判断したら、行動は早いほうがいい。
晴香から携帯を拝借し、履歴から彼氏に連絡を入れた。
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電話で呼ばれた店に行くと、
もうそこにはすでに出来上がっている晴香がいた。
あれほど僕の前以外では酒はほどほどにしておけと言ったのに。
思わず眉間に皺が寄る。
「ほらっ!来たよ!」
僕の機嫌の悪さに気づいたのか、否か、
晴香の友人が肩を揺するが、反応は薄い。
もう半分夢の世界、というか、正常の意識を保っていないのだろう。
「・・・八雲君なんか来るわけないよ。きっとまだ私のこと怒ってるもん…。」
「そんなことないって、ほら、彼氏だよ~~。」
「嘘だ〜。偽物だよ。ドッペルゲンガーだって〜。」
「・・・誰がドッペルゲンガーだ、誰が。」
「…むかつく。その声も、言い方も、八雲君そっくり…。」
「当たり前だ。本人だ。」
「〜もう止めてよ。会いたくなるじゃないっ…。」
埒があかない。
またわんわん泣き始める晴香を抱き上げる。
「八雲の馬鹿〜!大好きなのに〜!」
それでも泣き止まず、(というか、抱き上げられたことすら気づいていない)
恥ずかしいことを言っている晴香。
背に腹は代えられなかった。
唇を塞ぐ。
静かになった晴香を僕はこれ以上暴れないように抱きしめる。
痛くない力でしかし購えないように。
しかし予想外の口づけだったのか、晴香の抵抗は弱々しかった。
おとなしくなった今のうちに、店を出る。
どうやら寝ているらしい晴香の吐息を背中越しに感じる。
喧嘩の理由など忘れてしまったが、
彼女の言葉に毎度傷つけられている僕にも
気づいてくれることを願う。
しかし、背に感じる重みがいとおしくて
結局はそれさえもどうでもいいなんて、重症だ。
それ以上考えるとなんだか負けそうになる気がしたので、
意識をそらし、別のことを考えることにした。
きっと今夜の記憶など綺麗さっぱりなくなっていて、
明日の朝、アパートに戻っている自分に困惑するだろう晴香に思いを馳せる。
もしかしたらまた喧嘩になるかもしれないな、
と酒など一滴も飲んでいないのに頭が痛くなった。
*********
嵐のように去っていった二人を無言で見送り、
背が見えなくなったところで息をつく。―――もはや、ため息だ。
「ふ~。やっといったか。」
「・・・つか、彼氏、完全に私たちのこと忘れてない?」
「あ〜。晴香の彼ね〜。晴香のことしか眼中ないのよね。多分、私達のことなんか友達A、Bくらいしか思ってないんじゃない?」
「…。」
今まで、なんだかんだと、5回以上は会っている気がするが。
バカップルな2人に呆れを感じつつも、なんだかうらやましい気もする。
「・・・いいなぁ」
「あんたも早く恋人つくれば?」
簡単に言ってくれる。
そんなうまくいったなら、とっくにできている。
くやしいから今度晴香に何かおごらせよう、
と考えて、追加のカシオレを注文する。
酒の肴はもちろん、あの2人の今後ということで。
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ありがちネタですみません・・・。
ポイントは、自分の前以外で酒を飲ませてない八雲君です。
男も女も関係ないですw
男も女も関係ないですw
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