2011年9月19日月曜日

謎かけ。



※八晴









苦い毒にも甘い薬にもなるものって何だと思う、と彼女は問うた。
僕は何も答えず、ただ沈黙を守った。

僕が話を聞いていないと思ったのか、彼女は怒って頬を膨らませたが、
僕はそんなことは気にせずにただ思慮に耽った。
もっとも、彼女には僕が変わらずに
本を読み続けている姿にしか見えなかっただろうが。

彼女の機嫌を損ねることは僕の本意ではなかったけれど、
彼女はよくも悪くも感情豊かな人だったので
それはそれほど珍しいことではなかった。

僕が考えこんでいた―――彼女にしてみれば本を読んでいただけ―――
頭をあげて思いつくままに告げると、それが先ほどの謎掛けの返事であると
一瞬の間の後に気づいた彼女は、笑顔で首を横に振る。

彼女の機嫌が直ったのはいいが、
答えを違えてしまった僕は内心面白くなかった。
彼女が、僕には絶対にわからない、と自信満々の態度をとるのも気に食わない。

眉間に皺を寄せた僕に降参を迫る彼女は、
いつもとは逆で自分が優位なのが嬉しいのか、
きらきらと輝くような瞳でこちらを見ていた。

そんな彼女の様子が子供みたいでおかしくて、僕は笑った。
そして、ああ、まるで彼女のようだ、と思った。

僕を絶望のどん底に落とし地獄に導くことも、
僕の暗い闇に染まった心を救いあげることも、
全て彼女にしかできない。

「・・・ああ、君か」

僕が感じたことを独り言のようにつぶやくと、
彼女はわけがわからない、というように僕の言葉に首を傾げた。

僕はそんな君を引き寄せて唇をよせ、
まるで中毒性のあるクスリのような、甘いお菓子のような、その愛を貪った。


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たまには違う雰囲気のも書いたいんです。
・・・書けるかはともかく・・・。
(いつもは会話中心なので、会話を少なくしてみたんだぜ!)


謎の答え、これでわかりましたでしょうか・・・。
ああ・・・もっと上手に書けるようになりたい・・・。

個人的に会話中心の方が読みやすいし書きやすいのですが、
皆さんはどちらがお好みでしょうか?



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